GA4 IPアドレス除外の設定方法

はじめに 今回は、GA4で特定のIPアドレスからのアクセスを除外する方法について紹介します。また、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可する方法についても説明します。この機能は、社内からのアクセスを除外したり、社内からのアクセスのみを許可したりする場合に役立ちます。 内部トラフィックの定義 まずは、特定のIPアドレスを内部トラフィックとして定義します。 GA4プロパティの管理メニューから「データストリーム>対象のデータストリーム>タグの設定を行う>内部トラフィックの定義」を選択します。 「作成」をクリックし、内部トラフィックルールを定義します。 内部トラフィックルールで「ルール名」「traffic_type の値」「IP アドレス」を指定します。 「ルール名」は「本社」など識別しやすい名称を設定します。 「traffic_type の値」はデフォルト値は「internal」となっています。変更可能ですがここではそのままの設定とします。 「IPアドレス」はマッチタイプとして以下が指定可能です。 マッチタイプ 入力例 IPアドレスが次と等しい 172.16.1.1 IPアドレスが次から始まる 10.0. IPアドレスが次で終わる 255 IPアドレスに含む 0.0. IPアドレスが範囲内(CIDR表記) 24 ビットブロック(例: 10.0.0.0~10.255.255.255): 10.0.0.0/8 20 ビットブロック(例: 172.16.0.0~172.31.255.255): 172.16.0.0/12 16 ビットブロック(例: 192.168.0.0~192.168.255.255): 192.168.0.0/16 IPアドレスが正規表現に一致 192.0.* IPアドレスは複数指定することが出来ます。その場合は「条件を追加」をクリックします。 「作成」をクリックし設定を保存します。 データフィルタの設定 次に内部トラフィックの定義で設定したIPアドレスが除外されるようデータフィルタの設定を行います。 GA4プロパティの管理メニューから「データ設定>データフィルタ」を選択します。 「Internal Traffic」を選択します。 「データフィルタの編集」で各項目の設定を行います。 「データフィルタ名」はデフォルト「Internal Traffic」となっていますが変更可能です。 「フィルタオペレーション」は「除外」または「次のみを含む」が選択できます。 フィルタオペレーション 説明 除外 内部トラフィックで定義されたデータは全て除外されます。 内部トラフィックを除外した場合はこれを選択してください。 (例)社内のIPアドレスを除外したい場合…

GA4 データ保持の仕様を理解する

GA4のデータ保持仕様 GA4のデータはデータの種類ごとに保持の仕様が異なります。これらの仕様を把握することで適切なデータ分析が行えるようになりますのでしっかり理解しておきしょう。 ユーザーデータ、イベントデータ ユーザーデータ、イベントデータとはデバイスID(クライアントID、アプリインスタンスID)、ユーザーID、広告IDに関連付けされたユーザー単位、イベント単位のデータのことを示します。 これらのデータは プロパティで設定されたデータ保持期間は保持されますが期間が過ぎると月単位で自動的に削除されます。 ※ただし標準レポートではなく探索レポートのみが対象となります。 ユーザー属性データ 年齢、性別、インタレストカテゴリなどのユーザー属性データには、設定に関係なく常に2か月の保持期間が適用されます。 このため該当ユーザーのアクセスが2ヶ月ない場合はそのユーザーのデータは自動的に削除されます。 Googleシグナルデータ Googleシグナルのユーザー属性データには、設定に関係なく常に26か月の保持期間が適用されます。 ただし、データ保持期間の設定が26か月よりも短い場合は、その期間が保持期間となります。 データ保持に関する設定内容 データ保持期間 データ保持期間は以下の期間を変更可能です。 無償版/有償版 設定可能な保持期間 無償版 2ヶ月(デフォルト) 14ヶ月 有償版 2ヶ月(デフォルト) 14ヶ月 26ヶ月 38ヶ月 50ヶ月 新しいアクティビティのユーザーデータのリセット ユーザーデータのリセット方法をオン/オフで指定します。 設定 説明 オン(デフォルト) あるユーザーからのアクセスがある度にそのユーザーデータの保持期間がリセットされます。 たとえばデータ保持期間が2ヶ月に設定されており、あるユーザーが最初にアクセスしてから2ヶ月以上経過した場合は保持期間が過ぎてしまうため、そのユーザーのデータは削除されますが、2ヶ月以内に再度アクセスした場合には保持期間がリセットされその時点から2ヶ月間データが保持されます。 オフ オフにした場合は、リセットされませんので最初にアクセスしてから2ヶ月後にデータが削除されます。 データ保持の設定方法 GA4プロパティの管理メニューから「プロパティ>データ設定>データ保持」を選択します。 「ユーザーデータとイベントデータの保持」の画面で「イベントデータの保持」で保持期間、「新しいアクティビティのユーザーデータのリセット」を選択し「保存」をクリックします。 データ保持期間変更時の注意点 GA4でデータ保持期間は柔軟に変更できます。 保存期間が終了すると、データは毎月自動的に消去されます。 データ保持期間を短縮すると、影響を受けるデータは次の月に削除されます。たとえば、14か月から2か月に変更すると、2か月以上経過したデータは次の月に削除されます。 データ保持期間を変更した場合、適用されるまでに24時間かかります。このため、データに影響を与えることなく元に戻すことができます。 まとめ 今回はGA4のデータ保持に関する仕様と変更可能な設定内容、具体的な設定方法、注意点について紹介しました。データ保持の機能について正確に理解した上で効果的かつ効率的なデータ分析を実施いただければと思います。 Implement DigitalではGoogle Tag Manger/Google Analyticsの導入・実装・運用を支援するサービスを提供しています。 ご興味がありましたらお問い合わせください。

Google AnalyticsのオーディエンスリストとGoogle Analytics 4での作成方法

はじめに 今回はGoogle Analyticsのオーディエンスリストについて説明します。これは、ウェブサイトやアプリのトラフィックデータを分析し、ユーザーを特定の条件に基づいてグループ化するための便利なツールです。 オーディエンスリストの概要 オーディエンスリストを使うと、ターゲティングやリマーケティングの効果が格段にアップします。たとえば、特定のページを訪れたユーザーや特定のアクションを実行したユーザー、あるいは特定のコンバージョンを達成したユーザーなど、さまざまな条件でユーザーをセグメント化することができます。これにより、広告のターゲティングをより具体的に行うことができます。例えば、特定の商品ページを訪れたユーザーには関連商品の広告を表示することができます。また、過去にウェブサイトを訪れたユーザーに対して広告を再表示することで、リマーケティングの効果を発揮することも可能です。 さらに、オーディエンスリストを活用すると、カスタムターゲティングも可能です。地域やデバイスなど、特定の条件を満たすユーザーグループを作成することができます。これにより、より細かなターゲティングが可能になります。 ただし、オーディエンスリストを使用する際には、ユーザープライバシーに関する規制やガイドラインに遵守することが重要です。個人情報の適切な取り扱いに留意しながら、この強力なツールを活用しましょう。 オーディエンスリストの設定方法 Google Analytics 4では、オーディエンスリストの作成方法が変わりました。 具体的な手順は以下の通りです。 左側のメニューから「オーディエンス」を選択します。 「オーディエンス」をクリックします 「ゼロから作成」か「参照を使用する」を選び条件を設定します。 入力が完了したら、左上で名前を入力し、「保存」ボタンをクリックしてオーディエンスリストを作成します。 まとめ 以上が、Google Analyticsのオーディエンスリストの概要と、Google Analytics 4でのオーディエンスリストの作成方法です。これらの手法を組み合わせて、効果的なターゲティングとリマーケティングを実現しましょう。ユーザープライバシーに留意しながら、最大の成果を得ることができるはずです。

GTMでGA4のCookie属性を変更する方法

はじめに 以前当コラムで「Google Analytics 4でクッキーの設定を変更する」という記事を紹介しました。これは管理画面上からGA4のCookieの有効期限とその更新方法を設定する方法となります。 今回は管理画面からは設定できないCookie属性をGTMで設定する方法を紹介したいと思います。なお、設定可能なCookie属性は、ドメイン、プレフィクス、フラグなどです。 GA4のCookie GA4で使用されるCookieは以下の2種類があります。 Cookie名 説明 _ga クライアントIDが保存され、ユーザーを識別するために利用します。 _ga_ セッション情報を保持するための情報が保存されます。 参照:https://support.google.com/analytics/answer/11397207?hl=ja 設定可能なCookie属性 属性 フィード名 デフォルト ドメイン cookie_domain auto 有効期限 cookie_expires 63072000(2 年間を秒で表した値) プレフィクス cookie_prefix なし 有効期限の更新方法 cookie_update true フラグ cookie_flags 参照:https://developers.google.com/analytics/devguides/collection/ga4/cookies-user-id?sjid=17135921335402080564-AP&hl=ja GTMでCookie属性を設定する方法 ここではフィード名cookie_flagsを使用してSameSite属性とSecure属性を設定する例を記載します。他の属性についても要領は同じになります。 GA4設定タグを開きます。 設定フィールドに以下を設定します。 フィールド名 値 cookie_flags SameSite=None;Secure 「保存」をクリックしてタグを保存します。 まとめ 今回はGA4のCookie属性をGTMで設定する方法を紹介しました。ここまで細かく設定できることは以外と知られていないのではないでしょうか?また、通常Cookie属性を変更することはないかもしれませんが、必要になったときの参考にしてもらえればと思います。 Implement DigitalではGoogle Tag Manger/Google Analyticsの導入・実装・運用を支援するサービスを提供しています。 ご興味がありましたらお問い合わせください。

最新のGoogle Analytics4アップデート情報(2023年5月17日現在)

はじめに Google Analytics ユニバーサル アナリティクスの終了まであと2ヶ月を切りました。 皆さんはもうGoogle Analytics4への切り替えも行い、Google Analytics4でのレポーティング作業も始まった人も多いかと思います。 Google Analytics4は、常にアップデートを実施しております。 先日も最新のアップデートが行われたので、その詳細について共有したいと思います。 1. アトリビューションモデルについての変更 2023年5月よりファーストクリック、線形、減衰、接点ベースのアトリビューション モデルが廃止されました。既存で使われているこれらのアトリビューションについては9月よりサポートされなくなります。 これに代わり、Google Analytics4ではより高度なアトリビューションモデルが導入されており、より効果的なマルチチャネルマーケティングが可能になりました。これにより、どのチャネルやタッチポイントが最も重要であるかを理解し、マーケティング戦略を改善し、ROIを最大化することができます。 今後はGoogle Analytics4のアトリビューションモデルを活用し、より精度の高い分析を行いましょう。 ※アトリビューションモデルとは・・・ アトリビューションモデルとは、顧客の購買行動を複数のマーケティングチャネルやタッチポイント(広告、SNS、ウェブサイトなど)によって分析し、それぞれがどの程度貢献したかを測定するための手法のことです。これは、マルチチャネルマーケティングにおいて、どのチャネルやタッチポイントが最も重要であるかを理解するために必要なものであり、マーケティング戦略の改善やROIの最大化に役立ちます。 2. 正規表現を使用してイベントを変更、作成 Google Analytics 4では、正規表現を使用してイベントを変更または作成することができるようになりました。この機能により、ユニバーサルアナリティクスからGoogle Analytics 4に移行する際に、より柔軟な設定が可能になりました。正規表現を使用してリンク先とイベントの目標を定義することで、より正確な分析が行えます。これにより、マーケティング戦略の改善につながる情報を得ることができます。 3. アカウントで使用できるプロパティ数の変更(100→2000) Google Analyticsのアカウントに設定可能なプロパティの数が増加しました。以前は100でしたが、2,000に増え、プロパティをより柔軟に整理できるようになりました。また、Google アナリティクス360で使用できるサブプロパティ数の上限が400に設定されましたが、必要に応じてサポートに依頼して増やすことができるようになりました。 まとめ 以上が最近行われたGoogle Analytics4のアップデート情報となります。 Google Analytics4は、今後も頻繁にアップデートが行われる予定です。 最新情報は、アナリティクスヘルプのページ (https://support.google.com/analytics/answer/9164320?hl=ja)より 確認ができます。Google Analytics4を最大限に活用し、より正確な分析を行い、マーケティング戦略の改善に役立てましょう。 Implement DigitalではGoogle Tag Manger/Google Analyticsの導入・実装・運用を支援するサービスを提供しています。 ご興味がありましたらお問い合わせください。

GA4で複数選択項目をカスタムディメンションで計測する方法

はじめに GA4で複数の選択項目を計測する場合、どのように設定するのが適切でしょうか? 例えば、商品検索フォームで複数の商品カテゴリーを指定できる場合、訪問者がどの商品カテゴリーを選択して検索を行ったかを計測することができます。これにより、興味のある商品カテゴリーを把握することができます。 本記事では、このような場合にどのように計測を実現するかを紹介していきます。 計測仕様 訪問者が検索を行った際に、どの商品カテゴリーを選択したかを以下の2種類のカスタムディメンションで計測します。 カスタムディメンション1:検索カテゴリー_組み合わせ このディメンションでは、訪問者がどのような組み合わせで商品カテゴリーを指定したかを把握することができます。ただし、それぞれの商品カテゴリーがどのくらい指定されたかを集計するのは大変です。 イベント名 search_multiple イベントパラメータ名 search_category_multiple イベントパラメータ値 商品カテゴリーをコロン(:)で連結した値 イベントパラメータ値の例 (cat1、cat2、cat3を選択した場合) cat1:cat2:cat3 カスタムディメンション2:検索カテゴリー_個別 このディメンションでは、組み合わせを把握することはできませんが、各商品カテゴリーが検索された回数を把握することができます。 イベント名 seach_single イベントパラメータ名 search_category_single イベントパラメータ値 商品カテゴリーの値 イベントパラメータ値の例 (cat1、cat2、cat3を選択した場合) cat1 cat2 cat3 ※3回に分けて計測します。 この2つのディメンションを計測することで、様々な分析が可能になると考えます。 それでは、具体的な設定方法について見ていきましょう。 検索フォームのHTML構造 今回紹介する設定方法は、検索フォームが以下のようなHTML構造になっているものとします。 商品検索 カテゴリー1 カテゴリー2 カテゴリー3 カテゴリー4 カテゴリー5 GA4の設定 カスタムディメンションの設定 以下の内容で2種類のカスタムディメンションを設定します。 ディメンション名 検索カテゴリー_組み合わせ 範囲 イベント イベントパラメータ search_category_multiple ディメンション名 検索カテゴリー_個別 範囲 イベント イベントパラメータ…

GA4のユーザー属性データとレポート

GA4のユーザー属性データとは? Google Analytics 4(以下GA4)では、ユーザー属性データを収集しレポーティグすることができます。ユーザー属性データとは、Webサイトの訪問者に関する属性情報のことで、GA4では以下のようなユーザー属性データを収集することができます。 ユーザーの年齢 ユーザーの性別 ユーザーの地理的位置 ユーザーの言語 ユーザーの興味・関心 ユーザーの購入履歴 ユーザーのデバイスやブラウザ情報 これらのデータを収集・分析することで、Webサイトの設計やコンテンツの改善などの意思決定を行うことができます。また、これらの情報は広告のターゲティングやセグメンテーションにも役立ちます。 ユーザー属性データの収集を有効にする Googleシグナルを有効にする GA4ではGoogleシグナルを有効にすることで、より詳細なユーザー属性データを取得することができます。(デフォルトでは無効になっています。)Googleシグナルは、Googleアカウントに関連する情報を使用して、Webサイトの訪問者に関する属性情報を収集する機能です。 以下は、Googleシグナルを有効にすることで取得可能なユーザー属性データの例です。 ユーザーの年齢 ユーザーの性別 ユーザーの興味・関心 それでは、Googleシグナルを有効にする手順を見ていきましょう。 管理メニューから該当プロパティを選択し、「データ設定>データ収集」をクリックします。 「Google シグナルのデータ収集」をONにします。 地域とデバイスに関する詳細なデータの収集 地域とデバイスに関するユーザー属性データはデフォルトで有効になっていますので特に設定変更する必要はありませんが、この機能でどのようなデータが収集できるのかを把握しておくと良いでしょう。 都市 (都市の)緯度 (都市の)経度 ブラウザのマイナー バージョン ブラウザのユーザー エージェント文字列 デバイスのブランド デバイスのモデル デバイス名 オペレーティング システムのマイナー バージョン プラットフォームのマイナー バージョン 画面の解像度 参照:[GA4] 地域とデバイスに関する詳細なデータの収集 ユーザー属性データが表示されない理由 上記の設定を実施してもユーザー属性データが表示されない場合があり、考えられる理由としては以下のようなものがあります。 収集されたデータが不十分:ユーザー属性データが表示されるには、一定数以上のユーザーからのデータが必要です。データが不足している場合は、さらに収集を続けてください。 しきい値による除外:Google シグナルが有効かつ、指定した期間のユーザー数が少ない場合、レポートからデデータが除外されることがあります。Google シグナルが有効になっていると、ユーザー数を含むレポートには、Google シグナルを無効にした後も一定期間にわたってしきい値の適用が継続される場合があります。 データの遅延:GA4はデータをリアルタイムで表示することができますが、場合によっては遅延が発生することがあります。データが収集されていることを確認して、数時間待ってから再度確認してください。 プライバシー設定による制限:GA4は、訪問者のプライバシーを尊重するため、収集されたデータが一定の基準を満たさない場合、レポートでデータを表示しない場合があります。たとえば、特定の属性グループの人数が少ない場合、プライバシーの理由からデータが表示されないことがあります。 ユーザー属性レポートを確認する GA4のユーザー属性データを確認するレポートには「ユーザー属性サマリー」と「ユーザー属性の詳細」があります。いずれも「レポート」メニューの「ユーザー>ユーザー属性」から確認することができます。 ユーザー属性サマリー…

Google Tag Managerのルックアップテーブルで複数GA4プロパティの計測を簡易化する

はじめに Google Analytics4(以下、GA4)の計測で、下記のように複数のウェブサイトもしくは同一サイトでもディレクトリ単位でそれぞれ別々のGA4プロパティで計測したい、さらにこれらを一つのGoogle Tag Manager(以下、GTM)コンテナで管理したいときに計測用タグの設定はどのようにしていますでしょうか? <例1>複数のウェブサイトを別々のGA4プロパティで計測したい aaa.example.com bbb.example.com ccc.example.com ddd.example.com <例2>同一サイトでもディレクトリ単位で別々のGA4プロパティで計測したい www.example.com/aaa/配下 www.example.com/bbb/配下 www.example.com/ccc/配下 www.example.com/ddd/配下 普通にGTMで各サイトやディレクトリ用のGA4タグとトリガーを設定すれば良いわけですが、その数分の設定が必要となりますし、上記の例のように4個程度であればそれほど手間にはなりませんが、例えば20や30個になってくるとタグやトリガーの数が膨大になり管理が煩雑になってしまいます。 そこで本記事ではGTMのルックアップテーブルを利用して、このようなケースでも一つのタグ・トリガーのみで計測する方法を紹介したいと思います。 ルックアップテーブルとは? ルックアップテーブルは、GTMに標準で用意されている変数タイプの一つで、指定された入力値に対する出力値をテーブル形式(Key-Valueペア)で設定出来る変数です。 まずはKeyとなる入力を変数で指定します。(組み込み変数とユーザー定義変数のどちらも指定可能です。)次に実際の入力値、出力値をテーブル形式で指定していきます。 これによりテーブル内で指定された入力値から対応する出力値を返却してくれます。 上述の「複数のウェブサイトを別々のGA4プロパティで計測したい」場合の設定は以下のようになります。 入力変数 Page Hostname(組み込み変数) 入力値 ホスト名 出力値 GA4測定ID それでは具体的な設定方法についてみていきましょう。 ルックアップテーブルの作成 1.「変数>ユーザー定義変数>新規」をクリックします。 2. 変数タイプで「ルックアップテーブル」を指定します。 3. ルックアップテーブルの設定を行います。 以下の内容でルックアップテーブルを設定します。 変数名 TrackingID 変数を入力 {{Page Hostname}} 入力 aaa.example.com bbb.example.com ccc.example.com ddd.example.com 出力値 ホスト名ごとのGA4測定ID 計測用GA4タグの作成 以下の内容でタグを作成します。 タグの名称 GA4_PageView タグの種類 Googleアナリティクス:GA4設定…

ユニバーサルアナリティクスからGoogle Analytics4への移行について

はじめに Google Analyticsは、Googleが提供するWebサイトのトラフィックを追跡・レポートする解析サービスで、現在はGoogle Marketing Platformブランドの中の1プラットフォームとして提供されています。Googleは2005年にこのサービスを開始しました。現在ではマーケティング担当者やウェブサイト所有者の間で最も広く利用され、よく知られている解析サービスであり、無料で利用することもできます。ユニバーサルアナリティクスは、長年にわたり、ウェブサイトのパフォーマンスとエンゲージメントを測定するための標準となっています。そして、これは2020年10月14日以前のWebサイトのデフォルトのプロパティタイプでした。 なぜ移行する必要があるのでしょうか? ユニバーサルアナリティクス(以下、UA)の利点と効果にもかかわらず、Googleは常にいくつかの機能を追加し、データモデルと分析プラットフォームの有効性を改善しようとしています。これにより、UAは終焉を迎えることになるのです。2022年にGoogleが行った声明によると、UAは2023年7月1日に新しいデータの収集を停止し、Google Analytics 4(以下、GA4)がそれに代わるように設定されています。しかし、ユーザーは2023年7月の期限まではまだUAを使用することができます。注意点としてはサンセットされた後のUAに新しいデータが収集されることはないとのことです。 GA4への移行手順 GA4 では、Web サイトやアプリの測定値を確認できます。また、機械学習アルゴリズムから、それらのプロパティを最適化する方法についての洞察を得ることができます。GA4への導入や移行は、できるだけ早く行うことが推奨されています。 現在UAを使用している場合、既存のUAのプロパティと並行してGA4のプロパティを設定する必要があります。2022年7月1日までに行えれば理想的です。 GA4のプロパティを作成するにはGA4 設定アシスタントを使用します。 UAの管理メニュー>プロパティから「GA4 設定アシスタント」を選択し「はじめに」クリックします。 以下のダイアログが表示されますので「作成して続行」をクリックします。 Googleタグの設定で「既存のGoogleタグ使用する」「Googleタグを設定」のどちらかを選択し「次へ」をクリックします。ここでは「Googleタグを設定」を選択します。 実装手順が表示されますので「完了」をクリックします。 以下の画面が表示されたらGA4プロパティの作成は完了です。 「GA4プロパティに移動」をクリックし、GA4プロパティを開きます。 GA4の「設定アシスタント」が表示されますが、この状態ではGA4の設定が全て完了した訳ではありません。 「設定アシスタントの詳細」をクリックすると以下のヘルプページが表示されますので参考にしてGA4の設定を実施してください。 https://support.google.com/analytics/answer/10110290?hl=ja GA4プロパティの設定が完了後、Google Tag ManagerでGA4タグの設定を行うとGA4でのデータ収集が開始開始します。 まとめ GA4プロパティを設定することで、既存のUAと並行してトラッキングを行うことができるようになります。UAからGA4に変更することで、Google Analyticsのプラットフォームが提供する新しい高度な機能をすべて利用することができます。また、UAは今後サンセットされ、間もなく置き換えられるため、できるだけ早くGA4に移行することをお勧めします。 Implement DigitalではGoogle Tag Manger/Google Analyticsの導入・実装・運用を支援するサービスを提供しています。 ご興味がありましたらお問い合わせください。

GA4におけるクロスドメイントラッキングについて

GA4におけるクロスドメイントラッキングとは? GA4のクロスドメイントラッキングとは、異なるドメインに属する複数のウェブサイトにおいてユーザーのインタラクションを追跡することを指します。デフォルトの設定では複数のドメインにまたがるユーザーの行動を追跡することはできません。 クロスドメイントラッキングは、1つのGA4プロパティで複数ドメインの分析データをリンクさせます。これはすべてのドメインで共通の測定IDを共有し、GA4の管理メニューでクロスドメイントラッキングの設定を行うことで実現されます。 例えばECサイトでショッピングカートから異なるドメインの決済ページに移動するときや、プライマリサイトと別サイトの間を移動するときなど、ユーザーが複数のサイトを移動するときに使用します。 クロスドメイントラッキングが必要な理由は、複数のドメインにまたがるユーザーの行動を1つのセッションとして追跡し、ユーザーがウェブサイトやウェブアプリケーションをどのように操作しているかの全体像を把握する必要があるためです。これはメインのウェブサイトと別の決済ページなど、異なる機能ごとに複数のドメインを持っているウェブサイトでは特に重要です。 クロスドメイントラッキングがなければ、各ドメインは別々のセッションとして扱われ、結果としてユーザージャーニーを不完全にしか見ることができません。これではユーザーがあるドメインから別のドメインに遷移していることを把握することは難しく、ユーザーのウェブサイトでのインタラクションの全体像を見ることはできません。 GA4でクロスドメイントラッキングを設定する方法 クロスドメイントラッキングを導入することで、ユーザーがどのようにウェブサイトを閲覧しているかをより正確に把握することができ、ウェブサイトのデザイン、ユーザーエクスペリエンス、マーケティング戦略についてデータに基づいた意思決定をすることができます。それでは、GA4でクロスドメイントラッキングを設定する方法を見ていきましょう。 管理メニュー(歯車アイコン)からプロパティに移動し「データストリーム」をクリックします。 「ウェブ」をクリックし該当のウェブデータストリームを選択します。 「ウェブストリームの詳細」の下部にある「タグ設定を行う」をクリックします。 設定セクションで「ドメインの設定」をクリックします。 対象のドメイン情報を設定します。 マッチのタイプを選択します。(「含む」など) 「ドメイン」に対象のドメイン名(例:example.com)を入力します。 「条件の追加」で複数のドメイン名を追加することが出来ます。※複数指定した場合はORロジックを使用して評価されます。 入力が完了したら「保存」をクリックします。 クロスドメイントラッキングが正しく動作していることを確認する あるページから別のドメインのページに移動する際にURLを確認することでクロスドメインの設定を確認することができます。クロスドメインの設定した後、別のドメインに遷移する際にリンクをクリックしてみてください。その際_glクエリパラメーターが追加されていれば、クロスドメイントラッキングが正しく機能している証拠です。 例えば以下のようになります。 https://www.example1.com/?_gl=1*abcde5* クロスドメイントラッキングとサブドメイン サブドメインはメインのウェブサイトを別のセクションに分割し、それぞれに固有の URL を設定する方法です。例えば、「example.com」というウェブサイトのサブドメインは、「shop.example.com」や「blog.example.com」のようなものが該当します。 このように複数のサブドメインを保有している場合、全てのドメインが同じ測定IDで計測されていればクロスドメイントラッキングの設定は不要となります。 GA4におけるクロスドメイントラッキングの注意点 クロスドメイントラッキングを設定した場合、複数のドメインをまたいだユーザー行動を追跡することが出来ますが、追加したドメインを参照元として計測しても良いかの検討は別途必要となります。例えば決済ページをクロスドメインとして追加したとします。ショッピングページから決済ページへの遷移でユーザーのセッションは繋がりますが、その後再度ホームページに戻った場合には決済ページからの流入として計測されてしまいます。これを流入として計測しないようにするには「除外する参照のリスト」に決済ページのドメインを追加する必要があります。 まとめ GA4のクロスドメイントラッキングは、複数のドメインにまたがるユーザーの行動を1つのセッションとして追跡できるウェブ解析の重要な側面です。これにより、ユーザーのウェブサイトとのインタラクションをより完全に把握することができ、ウェブサイトのデザイン、ユーザーエクスペリエンス、マーケティング戦略についてデータに基づいた意思決定を行うことができます。 Implement DigitalではGoogle Tag Manger/Google Analyticsの導入・実装・運用を支援するサービスを提供しています。 ご興味がありましたらお問い合わせください。